米国研修レポート

米国研修レポート

第二回 岡山イノベーションコンテスト 入賞特典

〝起業の聖地〟で決意新たに
2018年度のコンテスト入賞を果たした岡山の起業家が
米国シリコンバレーを訪問。充実の研修内容を徹底レポート。

岡山・備後で革新的なビジネスに挑戦する創業者や、
起業家精神を持つ学生らを発掘する岡山イノベーションコンテスト(中国銀行、山陽新聞社主催)。
2018年度のグランプリと大賞の受賞者5人は今年2月24日から3月1日まで、両賞特典の米国シリコンバレー研修に参加した。
研修の様子や参加者の感想を紹介する。


日本企業も多数入居するインキュベーションセンター「PLUG AND PLAY」を訪問

千田氏講演会

受賞者が米国研修 米国カリフォルニア州サンフランシスコのシリコンバレーには、世界的な企業が数多く生まれ、〝起業の聖地〟と呼ばれている。参加者5人は、現地にある岡山大学シリコンバレーオフィスの千田一貴所長のコーディネートで、5企業・団体を視察した。 最初に訪れた「アンカー・ブルーイング・カンパニー」は1896年創業のマイクロブルワリー(地ビールメーカー)で、2016年にサッポロホールディングスが買収。参加者は、取締役経営戦略部の塩見俊介部長から米国におけるビール業界事情や買収の苦労話、課題と成果などについて話を聞いた。その後、醸造所を見学し、ビールを味わえる隣接のオンサイトカフェで、その活用についても紹介を受けた。

アンカー社の塩見部長(左端)の説明を熱心に聞く参加者

プラグ&プレイ・テック・センターを訪問

ワイン醸造メーカーで醸造工程の説明を受ける

シリコンバレーの企業を訪問 起業家のスタートアップ支援組織「プラグ&プレイ・テック・センター」では、チャンスを求めるスタートアップ企業と、多数の日本企業を含むパートナー企業が世界中から集まっており、イノベーションの「熱」を肌で感じとった。
また自動運転の〝目〟となるレーダー技術を開発・製造・販売している「セプトンテクノロジーズ」も訪問。ベンチャー企業が成立するには「資金」「人」「技術革新」の三拍子が必要との助言を受けた。
そのほかシリコンバレー発の電気自動車メーカー「テスラモーターズ」のショールームを見学、在サンフランシスコ総領事館を表敬訪問するなど充実した時間を過ごした。さらにカリフォルニア州のワイン名産地・ナパバレーのワイナリーでワインについてレクチャーを受けたり、ゴールデンゲートブリッジやツインピークスなどを巡ったりしてサンフランシスコの観光地を視察した。

自動運転の〝目〟となるレーダー技術を開発・製造・販売している「セプトンテクノロジーズ」も訪問

在サンフランシスコ総領事館

ゴールデンゲートブリッジ

参加者レポート

大賞の受賞者は、シリコンバレー研修でなにを学んで来たのか。
事業にかける思いなど、ひと言コメントをいただいた。

大賞受賞者の声

グランプリ
白桃を世界に!
「果物ロス」を年中保存できる革新的ノウハウで解決
農業生産法人 果樂株式会社(倉敷市)
土居 栄太郎さん
米国企業の決断スピードに驚き
研修では、新たな価値を生み出す「グローバルスタイル」と、楽しみながら答えを求める「価値観の違い」、決断スピードの速さ「タイム感の違い」の三つを強く感じ、当社がどう挑戦していくべきかを再認識。「個」を大切にしつつ、互いに尊重し合う大切さも学びました。また岡山から新たな価値を発信したいと強い思いを持つ参加者同士の意見交換も有意義でした。貴重な経験と人との出会いを与えていただきました。

大賞受賞者の声

ビジネス部門イノベーションの部(創業5年以上)
国産竹を活用した新しい産業の創設
(放置竹林から宝知竹林へ!)
株式会社松本(高梁市)
松本 聡さん
衝撃的な経験の連続で意識改革
米国のさまざまなベンチャー企業とそこで活躍する人たちと触れ合い、事業に対するスピード感の違いや、楽しんでビジネスに取り組む姿勢に衝撃を受けました。スタートアップ支援制度の充実ぶりも驚いた点です。米国研修が意識改革につながり、将来的な事業のグローバル展開を考えるようになりました。肌で感じた部分も多く、コンテストに挑戦して米国を訪れることができ、今後の生きた財産になると思います。

大賞受賞者の声

ビジネス部門スタートアップの部(創業後5年未満)
洗車の未来を変える!
水なし洗車×空きスペース×アプリの融合
株式会社KCBプランニング(岡山市)
大賀 謙司さん
グローバル視点で海外展開を模索
米国・サンフランシスコを訪れ、日本以上に水不足への危機感が強いことが分かりました。米国人にも水なし洗車に興味を持ってもらえ、自分の中にグローバルな視点ができたと思います。ニーズを掘り起こし、海外展開も模索していきたいですね。またスタートアップ事業視察では、商品・ニーズ・人材がそろうことで、大きな飛躍のチャンスが生まれることが分かりました。各種支援機関をうまく活用して事業展開し、社会貢献できる企業に成長したい。

大賞受賞者の声

ビジネスプラン部門一般の部
混合介護の人材シェアサービス
お世話の輪
オージー技研株式会社(岡山市)
大森 淳史さん
事業の意欲再認識 飛躍する機会に
研修を経て「できる、できない」ではなく「やるか、やらないか」の判断基準でとらえ直すようになり、「事業を立ち上げたい」という本音を再認識できました。相手先と打ち合わせ中でも意思決定できる工夫、意欲、責任権限、スピード感など米国企業の視察で学んだことを毎日SNS(会員制交流サイト)で発信。多くの共感者から反応があり、先輩経営者からも声をかけていただき、研修を飛躍する機会として生かすことができました。

大賞受賞者の声

ビジネスプラン部門大学・専門学校生の部
ベジ狩り
福山市立大学(福山市)
大頭 理華子さん
前向き思考に刺激 仲間の大切さ実感
起業後の成長スピードや決断の速さなど、日本の企業との違いが理解できました。常にイノベーションを起こそうと考えることの大切さに気付いたうえ、前向きに物事を考えている人たちと話すことができ非常に刺激を受けた研修でした。視察先企業のすべてが、人とのつながりや仲間を大事にしており、私も仲間の大切さを再確認。参加者らから「ベジ狩りで起業すべき」との声をかけてもらい、改めて意欲が湧いてきました。

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