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コンテスト参加者その後
2019.10.28

先輩からのエール:OIC2018グランプリ 土居栄太郎さん

受賞で販路開拓に弾み

 

2018年グランプリ 


白桃の長期保存技術で「果物ロス」解消 

農業生産法人 果樂からく株式会社代表取締役 土居栄太郎さん(44)

 

水熟シリーズの商品を並べた果樂の展示・販売ブース

 果樂株式会社 KARAKU INC.


 果物王国・岡山が誇る清水白桃を独自の加工技術で丸ごとシロップ漬けにし、常温で1年間長期保存できる「水熟桃すいじゅくとう」を昨年末から販売開始。11月、岡山イノベーションコンテストで最高賞のグランプリをいただき、歳暮期から百貨店などでの販路開拓に結び付けることができました。前年、コンテストの最終審査を見て「自分もあのステージに立ち、(大賞副賞の)米国シリコンバレー視察に行くぞ」と決意したのを思い出します。

 コンテストに向けて1年間、岡山イノベーションスクールで学びました。グループワークで講師から出された課題への解決策、プラン作りに取り組んだ経験は経営面で大いに役立っています。客観的なものの見方や、身近な生活の中で課題を見つけ、解決方法を考えるという意識が身に付いたと思います。そして何よりも「岡山から世界へ」を合言葉に、共に起業を目指す幅広い世代・分野の人たちと知り合えたのが大きい。情報共有したりアドバイスをもらったりして啓発されることも多く、かけがえのない財産となっています。グランプリを獲得したことで大学や研究機関の協力も得られるようになりました。

 水熟桃のアイデアを思い付いたのは、約60年続く妻の実家の桃農園を継承したのがきっかけです。岡山は果物王国と言われますが半面、農業の現場は高齢化や後継者不足が深刻で、果物農家も厳しい状況にあります。岡山産果物のブランド力を高めるともに、農産物廃棄という課題を解決したいとの思いから長期保存できる商品を開発。起業前、岡山市内のデザイン会社で食品や酒のパッケージを手掛けていた経験も生きました。

 今後の展望として、一つは海外輸出の開拓を目指しています。アジアでの日本の桃需要は高く、水熟桃の生産を昨年の倍、約5千個に増やし、3分の1を台湾中心に出荷します。また当社の技術は桃以外の果物にも活用できるので、他県の特産果物の長期保存も受け入れたい。研究機関と食品のおいしさ分析も始めました。数値化することで商品の客観的な価値を高めようとの狙いです。

 研究プラットフォームベンチャー・リバネスの丸幸弘代表は「世界を変えるビジネスは、たった一人の『熱』から生まれる」と述べています。たった一人でも、事業への熱い思いを伝えられたら人(協力者)は集まってきます。コンテストに挑戦する皆さんには、ぜひ熱意をもって岡山に根差したビジネスモデルをどんどん発信してほしい。


 どい・えいたろう デザイン会社勤務などを経て2015年倉敷市浅原で農園経営を始め、16年に果樂を設立。18年独自技術で清水白桃を長期保存できる「水熟桃」を開発した。兵庫県出身。

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