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お知らせ
2025.06.03

岡山イノベーションスクール2025開講 5/1付 山陽新聞掲載

岡山イノベーションスクール2025開講

起業家育成塾「岡山イノベーションスクール2025」が4月11日、岡山市北区柳町の山陽新聞社さん太ホールで開講し、株式会社ゼロワンブースターホールディングス代表取締役CEOの鈴木規文氏の講演などがあり、岡山、香川県の22人がイノベーションの生まれる環境、事業創出に向けた心構えなどについて学んだ。同スクールは優れた起業家を発掘する「岡山イノベーションプロジェクト」(中国銀行、公益財団法人サンマルク財団、山陽新聞社主催)の一環で、12月まで開かれ、講義などを通じて受講生は起業や経営に必要な力を身に付ける。

 

基調講演「環境が起業家を育てる」

講師:株式会社ゼロワンブースターホールディングス

 代表取締役CEO 鈴木 規文氏

 

支援や資源活用し成長

イノベーションとは何かについて話す。高度経済成長期は、ある程度未来を予測でき、計画的に行動すれば成功できた。だが今はどうか。天災、ウイルス…。これらが事前に予測できただろうか。経済はずっと寝ている状態だ。今の仕事の半分くらいはAI(人工知能)に置き換わるとも言われている。そういう中、どういう変化が起きるか。経済の発展は非連続性だ。新しい仕組みや方法が生まれれば古いものが駆逐される。馬車を改善した先に蒸気機関や車は生まれていない。イノベーションはこういう類いのもので、過去を否定し新しい価値を生み出すことだ。

居場所を選ぶ

事業を起こすために必要なものは大きく二つあり、一つは人的資本、もう一つは社会関係資本(支援環境・居場所や資源)だ。中国地方の代表的企業の起源を調べると、天然資源、国家・行政の主導、軍事需要、いろいろな集団の組合・共同出資などが起点となっている。事業承継や大手企業の販売拠点、製造拠点として大きくなった場合もある。つまり元々、何かがあったということだ。起業家がゼロから立ち上げた企業はほとんどない。たまに小売り系があるくらいだ。時代背景、環境、地域差などバイアスはあるが、この傾向は全国でもほぼ変わらない。

ではどういう人が起業家をやれるか。イノベーションでは、組織で合理的に判断できないことに価値が存在している。起業家は「皆がいいねと言うものをやる」のではなく、「私はこれをやる」という強い思いが必要になる。例えば大きな会社で既に行っている立派な事業を、社員が自分の思いで好き勝手にやったらその事業が成り立たない。きちんとオペレーションを回す力が必要になる。これは起業家のものとは相当違う。新しい価値を見つけ、常に変化させていくということを好んでやるタイプの人は傾向的に少ないと言われており、起業家をやれるのはこちらの人だ。

今、起業がブームになっている。優秀な起業家がものすごく革新的なひらめきで、事業を起こすというようなストーリーをメディアがあおっている。だが実際、事業が起きているパターンはそうではない。要は、需要が見込めて、それを実現できる資源にアクセスしやすいか、事業をつくる活動を環境が応援してくれるかどうかだ。米シリコンバレーなどでは失敗することやクレイジーであることをかっこいいと思ってくれる空気がある。環境があるから起業家は集まる。そういう意味で岡山イノベーションスクールは素晴らしい環境と言える。

国内の有名な企業でも創業時にはいろいろな支援を受けている。先輩企業や大手企業の資源を使って成長している。決してフェアな市場ではない。環境・資源があるところから事業が生まれている。つまり成功する起業家は居場所を選んでいる。少なくとも一人でこつこつとビジネスプランを書くのではなく、人を巻き込んでほしい。

批判を仰ぐ

最後に起業家を目指す皆さんに心構えをお伝えする。9期目なので少しジャンプアップしてほしい。イノベーションスクールは、ほめられて心地良くなる場ではない。結局、ビジネスプランは勝たなければいけない。自分に都合のいい情報だけ集めて発表しても市場に出したら無視されるだけだ。いろいろな指摘を素直に吸収し、批判も否定も受け入れて成長に生かす姿勢を意識してほしい。

その上でピッチ(短く端的にまとめたプレゼンテーション)だ。頑張るのは当たり前で、相手は最低限の時間、情報で、投資や資源提供など、自分がどう行動するか、あるいは無視するか決めたいだけだ。発表者が気持ち良くしゃべっていることには関心がない。だからビジネスプランの堅牢性を高めてもらいたい。特に当初は、この二つを追求してほしい。「誰の、何を、解決するのか」。これが言えてない状態で都合のいいプランをつくってピッチをしている人が多い。単純だからこそ難しいが、ぜひやってほしい。またせっかくのスクールなので、ちょっとプロ意識を持とう。皆さんはスモールビジネスが多いが、スタートアップはスケールを前提に考える活動だ。ぜひ大きい世界観をつくろう。実際に始めると勝手に小さくなっていくものだ。だったら最初は大きくしておこう。

事業を始めるとき、最短距離の道はない。迷走するし、悩むと思う。でも、それが起業で、試行錯誤の旅だ。この素晴らしい環境で、その試行錯誤をうまく乗り切っていこう。

【基調講演 講師】

  鈴木 規文(すずき・のりふみ)
  株式会社ゼロワンブースターホールディングス 代表取締役CEO   


1969年、埼玉県生まれ。明治大学を卒業後、98年にカルチュア・コンビニエンス・クラブに入社し、コーポレート管理室長などを歴任。2006年にエムアウトでアフタースクール事業「キッズべースキャンプ」を創業、08年に同事業を売却。12年にゼロワンブースターを創業し、起業家支援などを手がけている。 


ゼロワンブースター

 

 

 

 

 

主催者あいさつ

岡山イノベーションプロジェクト協議会会長
山陽新聞社  代表取締役社長 桑原功氏

地域や時代の求める事業を

岡山イノベーションスクールでは、豪華な講師陣が実践的なビジネス教育を展開している。これまでに200人以上が学び、既に活躍されている人も少なくない。9回目となる今年は22人が受講した。これから起業に必要なスキルやノウハウ、哲学を体系的に学んでいただく。先輩の起業家や協賛企業のトップの方々と交流する機会も用意している。自らの可能性を信じて地域や時代の求める有益な事業を起こし、持続可能な地域づくりに貢献してほしい。

 

来賓あいさつ

岡山県知事 伊原木隆太氏 

夢かなえ岡山を活性化して

岡山イノベーションスクールに岡山県として大変期待している。米国では小さな会社がほんの短期間で大きな会社になり、 米国、世界を引っ張っている。ぜひ皆さんも大きな夢をかなえると同時に、岡山を、日本を活性化していただきたい。 いろいろな起業のやり方があるが、起業して、社会の困りごとや皆さんが不便だと思っていることを解決し、 会社を成長させることができれば素晴らしいと思う。 皆さんの大活躍を期待している。

 

 

開講宣言

岡山イノベーションプロジェクト実行委員長
中国銀行  常務執行役員 西明寺康典氏

挑戦を楽しみ未来を切り開こう

挑戦と熱意が新たなビジネスを生み出す原動力となる。岡山イノベーションプロジェクトでは、スクール生の皆さんの挑戦と熱意を形にする場を提供することができる。私たちも全力でサポートするので、皆さんも挑戦を楽しみながら、一歩一歩前進していってほしい。9回目を迎えるこのプロジェクトが、皆さんにとって実り多いものとなり、わくわくするような未来を描けるようにしていきたい。共に学び、共に成長し、岡山の未来を切り開いていこう。

 

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